「入社1年目で転職を考えるのは早すぎるのかな?」
「勤務年数は採用に影響するの?」
そんな風に、転職の時期を見計らい転職活動を開始できない薬剤師の方も多いことでしょう。
結論からいうと、20~30代のうちに転職をする方が有利です。
本ページでは、何年目の転職がベストなのかを具体的な数値とともに解説していきます。
いつ転職をしたらいいのか悩んでいる薬剤師の方はご一読ください。
総まとめ
- 薬剤師の転職は20~30代がおすすめ
- 新卒1年未満でも転職できるが、ポジティブな転職理由を考えておくべき
- 5年目以降の転職は採用する価値(メリット)を伝えることが大切
結論|薬剤師の転職は何年目がおすすめなの?

専門性の高い職種のため1年以上の実務経験がある薬剤師は、需要が高い傾向にあります。
より高い処遇を求めるのであれば3年~5年以降の転職がおすすめです。
「転職」という特性上、即戦力が重視されます。3~5年のキャリアを積むと、ある程度の仕事を任されるため採用側にとって貴重な人材です。
しかし注意すべき点は、採用側は単純に勤続年数で評価しないという点です。
キャリアを重ねるだけ、企業側が求めるスキルも高まります。
転職で大切なことは、キャリアに沿ったスキルが身についているかということが判断ポイントです。
【年数別】薬剤師が好条件で転職するには何年目がベスト?

具体的にキャリア年数ごとの転職における需要を見ていきましょう。
薬剤師1年目、2年目以降は求人需要がある
薬剤師は専門性の高い職種のため薬剤師という資格が有利にはたらき、1年目から求人は多数あります。
調剤薬局はもちろんのこと、一般企業の商品開発系への転職も可能です。
たとえば、製薬会社や化粧品メーカーの開発職の求人にも、薬剤師の資格保有者を優遇する案件が多数あります。
前述した通り、より良い転職先を見つけるのであれば、1年目より2年目の方がおすすめです。
その理由は、
- 1年を通してある程度の業務を覚えている
- 社会人マナーが身についている
上記の2点が考慮され就職活動が有利になります。
1年目と2年目では内定率が大きく異なります。
転職したい理由によりますが、数か月我慢できるようであれば、2年目に転職できるよう行動すると良いでしょう。
薬剤師3年目、4年目は市場価値が高く有利に転職できる
薬剤師3年目、4年目は採用側にもメリットが多く、有利に転職できるキャリアです。
ある程度の仕事も一人でこなし、周りの状況を見ながら自分の役割を全うすることができるため、転職先からも即戦力として重宝されるでしょう。
3年目、4年目は仕事を覚えたとはいえ、まだまだ企業の色には染まりにくいキャリア。
採用後、自社で教育をすることで、さらなる成長を期待し採用するパターンもあります。
5年目以降になるとある程度実績が必要になりますが、3年目、4年目はまだまだ専門性を高める時期でもあるため、今後の期待を込めての採用も多いようです。
将来活躍したい方向性が決まっているのであれば、この時期の転職はおすすめします。
3~4年ほど勤務すると仕事にも慣れてくるため、周りとの比較やキャリアアップについても考えはじめる時期。
ただ闇雲に辞める選択を取りやすい1年目よりも、転職理由がはっきりとしてくるため面接のときも志望動機として伝えやすくなります。
薬剤師5年目以降は計画的に進めるべき
5年のキャリアを積むと責任のある仕事を任されます。
いわゆる中堅キャリアになるため、管理薬剤師を任される方も少なくないでしょう。
実績がない方でも、5年以上の経験があれば、転職先でのキャリアアップや年収アップの可能性が広がります。
将来を見据えた働き方を考えるのも5年目くらいから。
大学卒業から就職と考えると20代後半の方が多数のため、結婚を視野に転職を考える方も多いことでしょう。
福利厚生やママさん薬剤師を多く雇い、定着率をアピールする企業もあります。
将来どのように働きたいか、しっかり見極め企業に伝えることが大切です。
5年のキャリアを積むと現職の企業側が手放したくないはずです。
また責任ある仕事を任され、仕事自体がハードになると転職活動をする時間がとれないケースもあります。
5年目以降のキャリアで転職を考える方は計画性が大切です。
薬剤師の転職|新卒1年目以内は不利になりやすい

薬剤師の転職で不利になりやすいのは、やはり新卒1年目でしょう。
採用側も実績や経歴よりも、「前職を辞めた理由」が気になるものです。
新卒1年目で辞める理由としては、
- 業務が多忙でサービス残業や休日出勤が多い
- 通勤時間が長い
- 地方への配属や転勤で生活の変化についていけない
- 職場の雰囲気に馴染めない
- 上司や先輩からの高圧的な態度によるストレス(人間関係)
など単純ではなく複合的にあるはずです。
なお、中途採用をするときには、高確率で転職理由を聞かれます。
転職理由がネガティブだと面接官にマイナスイメージを与えてしまうものです。
年間を通した仕事の流れを経験していないということは、ネックになる可能性が高いです。
転職の事情にもよりますが、まずは1年勤務し、その後転職活動をスタートさせると良いでしょう。
1年目と2年目では採用側が抱く印象は全く違います。
年数別に解説|薬剤師の転職を成功させるポイント

キャリアによって採用側が受ける印象は異なります。
ここでは、年数別に転職の際に気を付けるポイントをお伝えするのでチェックしましょう。
1年目、2年目の転職|転職先の企業分析を入念にする
1年目、2年目の転職は採用側にネガティブな印象をもたれがちですが、志望動機が明確でかつ強い信念があればマイナスな印象を打ち消すことが可能です。
たとえば、大手の調剤薬局から地方の調剤薬局に転職したい場合は、
- 「お客様との距離が近く地域に密着した薬剤師を目指したい」
- 「先輩との距離が近く、専門知識を早く学びたい」
など、ポジティブな転職理由で企業選びに軸があることをアピールします。
キャリア1年目、2年目は薬剤師としての経験が少ないため、実績をアピールしても企業側のメリットはありません。
より好印象を与えるためにも転職先の魅力を分析し、ポジティブな志望動機を伝えましょう。
3年目、4年目の転職|将来のキャリアパスが転職先で叶うことをアピールする
キャリア3年目、4年目は薬剤師の経験とポテンシャルを評価され採用される傾向にあります。
採用企業にとっても即戦力であり、貢献度の高いキャリアとして重宝されるはずです。
そのため、面接時に大切なことは3~4年という経験の中から見つけた信念や価値観、スキルや知識が転職先でどう活かされるか、今後どのような方向性もチャレンジしたいのかを伝えることです。
たとえば薬剤師の経験を経て製薬会社の研究や開発職につきたい場合、より高い専門性が必要になります。
「調剤を調合するだけではなく、今度は新薬の研究や開発に携わりより多くの人の役に立ち、いつかはまだ効く薬がない病気の新薬を開発したい」などです。
今後の自分のビジョンと企業とのマッチングをアピールすることが大切です。
5年目以降の転職|企業にとってのメリットを伝える
5年目以降は薬剤師としての経験も積み、責任ある仕事を任されるようになります。
採用側も即戦力だけではなく影響力がある存在として欲しい人材です。
アピールポイントとしては、今ある知識やスキルがどの程度貢献できるか、つまり企業が採用するメリットを伝えていきます。
たとえば、管理薬剤師としての経験があれば、中でも力を入れていた部分はどこか、それがどのような結果に結びついたかを伝えます。
マネジメントに力を入れていた方であれば、取り組んだことその結果、
- 薬局の利用者が何人増えた
- 離職率が減った
などPDCAサイクルを意識しながらまとめることで、より貢献度がを伝えられます。
5年以上というキャリアは採用側にとって影響力があり大きな期待を抱く人材です。
採用することのメリットを出来るだけ多くアピールしましょう。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもの。
計画→実行→評価→改善の順に自身のスキルをまとめると採用担当者に伝わりやすくなります。
薬剤師の平均勤続年数・転職回数

転職が多い職種である薬剤師。「転職回数を重ねると次の転職が不利になるかも…。」といった不安もあるかと思います。
ここでは、平均的な転職年数・回数を紹介するので参考にしてみてくださいね。
薬剤師の平均勤続年数
平均勤続年数 | パーセンテージ |
2.5年 | 6.5% |
3年 | 17.1% |
3.5年 | 7.3% |
5年 | 10.6% |
10年 | 13.0% |
参考文献:ネグジット総研の「就労意識に関するアンケート調査」(2010年)
上記からは、3年を区切りに転職する薬剤師の方が多いことがわかります。
薬剤師の平均転職回数
転職回数 | パーセンテージ |
0回 | 48.75% |
1回 | 20.25% |
2回 | 14.25% |
3回 | 8% |
4回以上 | 17% |
参考文献:リクナビNEXT「転職回数が多いと不利?年代別の転職回数と採用実態」
20代の転職回数は、0回と回答した人が76%。30代からは「転職回数なし」と回答した人の割合が一気に減少しています。
3割以上の人が転職を2回経験していることがわかりました。
薬剤師が最初に転職をするのは入社3年目
薬剤師が最初に転職するのは上記の平均勤続年数から推測すると、入社3年目からが多いようです。
一般的に入社3年目というのは基本的なビジネスマナーも習得し、仕事も一通り一人で全うできるキャリアとも言えます。
そのため転職にも有利とする認識が浸透しているため、3年を目処に転職を考える方も多いようです。
薬剤師が2回目以降の転職をするのは3~5年目
2~3回ほどの転職経験を持つ薬剤師が多いことがわかりました。
1回目の転職は、入社後3年と考えると、1回目の転職が20代後半。すると2回目の転職は30代と考えると3~5年が望ましいでしょう。
しかし2回目の転職を考える時期は、女性であれば結婚や出産によりライフイベントが起こりやすい時期でもあります。
そのためやむを得ず転職する場合は転職先の理解もあるため、転職回数としてカウントされないこともあります。
ライフイベント以外で転職する場合、2回目の転職は年数より実績に着目することをおすすめします。
3年目で転職をした場合、薬剤師としての実績を重ねられますが、役割を持たされる方は少数です。2回目の転職も役割のないまま行うと、不利になるケースも。
できれば2回目の転職は、ある程度の役職についてから実行することをおすすめします。
薬剤師の転職回数はほかの職業ほど気にする必要がない

一般的には転職回数が多い場合、転職活動が不利に働くケースが多いです。
転職理由にもよりますが、何度も転職を重ねていると面接官に、
- 「ここの会社もすぐに辞めるのでは?」
- 「周囲とコミュニケーションがとれないかも…。」
などマイナスなイメージを与えやすいからです。
しかし薬剤師の転職においては、転職回数をそこまで気にする必要はないようにも思います。
というのも、厚生労働省の発表によると、医療関係の求人倍率は2.11です。
専門性の高い職種のため誰でもなれる職種ではないということ、資格を保有しているという事実が転職そのものに有利に働きます。
転職回数が多い薬剤師が転職を成功させるコツ

ここでは、転職回数が多い薬剤師が転職を成功させるためのポイントを3つにまとめました。
- 転職理由・キャリアを整理する
- 情報収集をする
- 転職エージェントを活用する
転職回数が2回以上の薬剤師の方は、上記の3つのポイントを押さえたうえで転職活動をはじめましょう。
転職理由・キャリアを整理する
転職活動を衝動的に行うと失敗する傾向にあります。
まずは自分自身のキャリアを整理しましょう。
- なぜ自分は転職したいと思ったのか
- 転職することでどのような環境に身を置きたいのか
- 将来自分はどんなことにチャレンジしたいのか
など思ったことをすべて書き出すと良いでしょう。
情報収集をする
口コミサイトや知人を介して、転職候補先の情報を収集しましょう。
求人サイトや公式ホームページには、給料や業務内容など表面的な内容しか記載されていません。
たとえば、「ママさん薬剤師います」と書かれた求人を見ても、実際にどのくらい割合でいるのか、何歳のお子さんを育てているのか具体的に把握することは難しいでしょう。
本当に正しい内容であるか求人の情報をすべて鵜呑みにせずに、自分で確かめるようにしましょう。
応募企業がお近くの場合は、自分の足で訪ねることもおすすめです。
人間関係や職場の雰囲気は、社員同士のコミュニケーションを見れば、感じ取ることができるでしょう。
実際の職場を目にすることで、自分が働くイメージを膨らませられるので面接時に熱意が伝わるはずです。
転職エージェントに登録する
転職に不安を感じる方は、薬剤師専門の転職エージェントのサポートを受けるべきです。
薬剤師の転職に精通したプロのキャリアアドバイザーに手厚いサポートを受けられるので、転職失敗のリスクを半減できます。
具体的なサポート内容は、次の5つです。
- 転職の動機やスキルを活かした転職方法の提案
- 職務経歴書の添削
- 模擬面接
- 退職の手続き
- 年収・勤務条件の交渉
キャリアパスの見直しにもなるため、薬剤師での転職を検討している方は登録をおすすめします。
FAQ|薬剤師の転職に関する質問

ここからは、薬剤師の転職に関するよくある質問にお答えします。
- 新卒1年目の薬剤師で、すでに転職を考えているのは甘えですか?
- 病院薬剤師として4年勤務経験がありますが、調剤薬局に転職して1年目で管理薬剤師になれますか?
- 家庭の事情で1年半勤務した薬局から転職を考えていますが、効率の良い転職方法を教えてください。
上記のなかで気になる項目からチェックしましょう。
Q:新卒1年目の薬剤師で、すでに転職を考えているのは「甘え」ですか?
A:決して甘えではありません。転職エージェントのサポートを受け転職の準備をしましょう。
転職の理由は単純なものではなく複合的に合わさることが多く、解決の糸口が見えないケースも。そして、結果的に転職という道を選択することが多いです。
新卒1年目ということもあり、引け目を感じる方も多いかもしれませんが、薬剤師という資格が活かせる企業は数多く存在します。
転職に自信がない場合は、転職エージェントのサポートを受けることも一つの手段です。
薬剤師に特化した転職エージェントも多数あり、転職相談に乗ってもらうこともできるので今抱える不安を解消してくれます。
特化型のエージェントにはコンサルタントが複数人在籍し、薬剤師の方が不安に思うことも熟知いているため悩みを共感してもらえるでしょう。
Q:病院薬剤師として4年勤務経験があります。調剤薬局に転職して1年目で管理薬剤師になれますか?
A:業務内容が異なるため、1年目で管理薬剤師になることは難しいです。
病院薬剤師と調剤薬局での業務内容は異なります。
管理薬剤師になるためにはマネジメントスキルや業務管理のスキルが求められるため、調剤薬局の全てを把握しなければなりません。
ただし薬剤師としての経験があるため、すぐに管理薬剤師として働くことは難しいものの、1年働くことで業務内容を把握し、2年目からは就任することも可能だと思います。
なお、ひとり薬剤師店舗の求人を探せば必然的に管理薬剤師になることは可能です。

Q:家庭の事情で1年半勤務した薬局から転職を考えていますが、効率の良い転職方法を教えてください。
A:効率の良さを求めることも大切ですが、複数の転職サイトに登録し多くの求人を比較することをおすすめします。
転職サイトは複数併用して登録することで、求人の比較をすることができます。
また転職エージェントに登録をすると、条件に合う非公開求人を紹介してくれたり、企業の情報を提示してくれたり自分で調べる手間がなくなります。
内定後の給料の交渉や労働条件で気になることがある場合は、コンサルタントを通して行うことができるため忙しい方や、企業と直接話すことが苦手な方はぜひ転職エージェントに登録をしましょう。
まとめ|薬剤師の転職は2年目以降がおすすめ

転職にもっとも有利なのは2~5年目の薬剤師です。
転職という特性上、即戦力を求められるためある程度の実績は必要とされます。
しかし一概にキャリアだけでは評価されないことも押さえておきましょう。
転職において大切なことは今、持っているスキルの活かし方です。
薬剤師という国家資格をもつ職種はそれだけで重宝されますが、そこに経験と知識やスキルが加わることでさらに貴重な人材になります。
納得のいく転職を成功させるためには、転職エージェントをフル活用し、計画的な転職活動をしましょう。
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