「化粧品会社で働く薬剤師ってどんな仕事をしているの?」
「年収が高そうなイメージだけど本当は?」
上記のように、‟化粧品会社で働く薬剤師”について深く知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか?
化粧品会社が薬剤師を募集するのは極めて稀なことです。
そのため化粧品会社勤めの薬剤師に出会う機会が少なく、リアルな実態を把握するのは難しいかと思います。
今回は、化粧品会社で働く薬剤師の年収から仕事内容、メリット、デメリットまで詳しく解説!
本ページを読めば、自分にとって化粧品会社勤めが適しているのかを見極める判断材料になるはずです。
総まとめ
- 化粧品会社勤めの薬剤師の平均年収は380~700万円
- おもな仕事内容は「研究・開発」「品質管理」「販売営業」
- 求人数が少ないので就職・転職どちらも難易度が高い
- 就職・転職を成功させるためには転職エージェントをフル活用するべき
化粧品会社で働く薬剤師の主な仕事内容と役割

化粧品会社で働く薬剤師の仕事内容は、企業によってさまざま。
しかし、大まかな業務内容は共通しており、以下の3つに分類されます。
- 研究・開発
- 品質管理
- 販売営業
自分がどのような業務内容に挑戦したいのかを考えながらチェックしてみてくださいね。
研究・開発
研究・開発は、名前のとおり化粧品関係の商品の販売に向けて研究・開発を進める仕事です。
「製品に使用する成分の研究」や「組み合わせによる臨床試験」を実施します。
薬事法はもちろんのこと、皮膚科学や生物学、細胞学、栄養学など深い専門知識が必要。
商品を手にとる‟お客様への想い”を抱きながら開発に携われるので、やりがいを感じる薬剤師の方は多いようです。
品質管理
品質管理は、開発する製品の品質に問題がないかを確認する仕事です。
具体的には、成分や配合量が薬事法に触れていないかを確認します。
また製品が完成したら製品の製造販売許可を得るために手続きをするのも業務の1つ。
薬事申請の流れ
- 申請書の作成
- 審査専門員との面談
- 製造所のGMP検査
- 厚生労働大臣の承認取得
申請手続きに必要な書類を作成したり、製品に関する薬事的なクレームに対応したりと幅広い業務をこなします。
販売営業
販売営業は、開発した製品を顧客や取引先に売り込む仕事です。
薬学的な専門知識に加え、製品の効能や使い方まで熟知してなければ製品の営業はできません。
お客様と会話をする機会が多いため、高いコミュニケーションスキルが必須。
営業職は、ノルマが設けられていることが多く、成績に応じて評価されるので年収アップの可能性が期待できます。
化粧品会社で働く薬剤師の年収
厚生労働省が公表した2020年度の薬剤師の平均年収は549万円。一方、化粧品会社で働く薬剤師の年収は、380~700万円です。※1
年度 | 全国の薬剤師の平均年収 |
2020年度 | 549万円 |
2019年度 | 535万円 |
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
※1参考文献:ファルマスタッフ
薬剤師は一般企業に比べると高年収を得られる職業ではありますが、早くから頭打ちになりやすいのも特徴の1つ。
下記の通り、600万円を上回る業種はほとんどありません。
化粧品会社勤めの薬剤師は、600~700万円を得られる可能性があるので高年収を目指す人に向いています。
職種 | 都市部 | その他のエリア |
ドラッグストア | 542万円 | 556万円 |
調剤薬局 | 507万円 | 522万円 |
病院 | 467万円 | 490万円 |
企業 | 504万円 | 532万円 |
参照:「薬キャリ職場ナビ」
化粧品会社へ入職するには薬学部を卒業するべき?
美容に関心のある女性から根強い人気を誇る化粧品会社は、倍率が高い傾向にあります。
そのため、大手化粧品会社への就職を検討している方は、大学まで進学した方が有利です。
具体的な学部まで問われることはないので、「薬学部」を選択する必要はありません。
下記は、大手化粧品会社「資生堂」の文理別採用人数です。
2017年 | 2018年 | 2019年 | |
理数系 | 71 | 50 | 61 |
文系 | 57 | 71 | 76 |
参考文献:就職四季報2020
薬学部を卒業していなくても化粧品会社に入職できる可能性が大いにあるので、興味のある大学へ進学しましょう。
薬剤師が化粧品会社で働く3つのメリット

化粧品会社で働く薬剤師は、ほかの業種よりも年収が高いことがわかりました。
収入事情以外にも下記の3つのメリットがあります。
- 年収が高いうえに、福利厚生が充実している
- 美容の最新情報に触れられる
- 新しい商品の開発に携われる
化粧品会社で働く利点をしっかりチェックしておきましょう。
年収が高く、福利厚生が充実している
繰り返しになりますが化粧品会社で働く薬剤師は、ほかの職場の薬剤師よりも高年収です。
そのうえ福利厚生が充実しており、下記のように柔軟な働き方ができる企業がほとんど。
- 産休・育休がとれる
- フレックス勤務あり
- 土日休み
- 定時に退社できる
また化粧品会社は、女性が多い傾向にあるので子連れママにとっても働きやすい環境が整っています。
美容の最新情報に触れられる
美容業界に携わることで、美容の最新知識を身につけられます。
美肌になるための成分を知ったり、化粧品の正しい使い方を理解できたりと美意識が高くなる点も魅力の1つ。
また、開発する段階でさまざまな製品を試せるので、肌に良い成分を取り込み美に磨きがかかることも嬉しいポイントです。
新しい商品の開発に携われる
「新しい商品の開発に携われる」というのは、化粧品会社で働く最大のメリット。
どのようなニーズに向けて商品を作るのかといった企画から考案できます。
また、薬剤師は化粧品の配合成分を決める重要な役割を担うので、やりがいを感じるでしょう。
化粧品を通じて誰かを美しく変身させられるのは、化粧品会社の薬剤師だけです。
薬剤師が化粧品会社で働く3つのデメリット

化粧品会社勤務に限らず、どの職場でもデメリットが存在します。
薬剤師が化粧品会社に勤めるデメリットは次の3つ。
- 薬剤師らしい仕事ができない
- 調剤のスキルが身につかない
- 求人数が少なく就職・転職の難易度が高い
就職後に後悔しないよう上記を1つずつ確認しましょう。
薬剤師らしい仕事ができない
薬剤師といえば、薬を提供したり服薬指導したりと人の健康・命を支える重要な役割を担います。
しかし化粧品会社では、人を助ける仕事を任されることはほとんどありません。
そのためやりがいや達成感がなく、化粧品会社を辞める薬剤師もいるようです。
薬剤師としてどのように活動したいのかを再考したうえで、就職を検討しましょう。
調剤のスキルが身につかない
調剤のスキルが身につかない点も大きなデメリットと言えるでしょう。
薬学や医学の知識を深められないので臨床の現場に復帰しにくいのも欠点の1つ。
将来的に薬剤師としてキャリアアップしたい方は、化粧品会社で働くメリットは少ないかもしれません。
求人数が少なく就職・転職難易度が高い
そもそも求人数が少ないので、就職と転職どちらも難易度が極めて高い点もデメリットの1つ。
化粧品会社は、薬事のほかに化学や工学の知識も必要としています。
そのため化学系・工学系出身者が多く採用され、薬剤師の枠は極わずか。
入社するためには狭き門をくぐらなければなりません。
化粧品会社に限定せず、化粧品を取り扱っている製薬会社なども視野に入れた方が就職・転職成功しやすくなります。
薬剤師が化粧品会社への就職・転職を成功するコツ

ここまでで化粧品会社勤めの薬剤師は、‟狭き門をくぐり抜けた人材”ということがわかりました。
ここからは、難易度の高い就職・転職を成功させるためのポイントを解説します。
- 自己分析を行う
- メーカー商品の知識を深める
- 転職エージェントを利用する
1つずつ見ていきましょう。
自己分析を行う
化粧品会社への転職に限らず、就職や転職活動において念入りな自己分析は必須です。
希少な求人である化粧品会社への転職を成功させるためには、自己分析を徹底的に行った方が有利に働くでしょう。
面接官にとって、「どうして薬剤師でありながら化粧品会社で働きたいのか」という志望動機が気になるところ。
自分自身も何となくしか理解していなければ、志望動機と今後のキャリアに一貫性がなくなり採用を見送られてしまうはずです。
『自分がなぜ化粧品会社で働きたいのか』
『将来はどのように働きたいのか』
という2つのポイントをしっかり分析しましょう。
5~10年先の将来を見据えたキャリアプランとともに言語化できるようにしてくださいね。
自己分析が苦手な方は、リクナビNEXTの「グッドポイント診断」の活用をおすすめします。
メーカー商品の知識を深める
企業の自社製品について深く調べておきましょう。
面接時に自社製品に関する質問をされることはよくあります。
どのような製品を取り扱っているのか深く把握していなければ、採用を見送られる可能性も。
公式ホームページに記載されている内容だけでなくネットで念入りにリサーチしてくださいね。
転職エージェントでは、具体的な製品情報を入手しているケースもあります。
内部事情まで知ることができるので、転職エージェントを活用しない手はないでしょう。
転職エージェントを利用する
化粧品会社の内定を獲得するのは簡単ではありません。
ですので、転職エージェントに登録してキャリアアドバイザーによる手厚いサポートを受けましょう。
転職エージェントでは、下記のようなメリットがあります。
- 非公開求人を紹介
- 求人を出している企業の内部事情を把握
- 書類添削
- 模擬面接
- 転職のプロにキャリア相談ができる
上記以外にも企業とのやり取りを代行してくれるケースも。
内定後に勤務条件や年収交渉をしてくれる点も転職エージェントを利用する大きなメリットです。
一般の求人サイトでは掲載されにくいレア求人を保有しているので、無料登録して確認してみてくださいね。
化粧品会社への転職に有利に働く資格

化粧品会社への転職は難易度が高いので、資格を取得して挑む方も多いようです。
ここでは、化粧品会社への転職にとって有利に働く資格をまとめました。
- 日本化粧品検定
- スキンケアアドバイザー
取得できそうな資格があれば挑戦してみてくださいね。
ただし「資格がなければ採用されない」ということはありません。
『資格取得後に転職活動をスタート』といった順序を踏むのは、ほかのライバルと比べて出遅れてしまう可能性があります。
資格取得よりも転職エージェントを利用した方が飛躍的に内定獲得率が高まります。
今すぐに転職を成功させたい方は、資格取得ではなく転職エージェントの活用を!
日本化粧品検定
日本化粧品検定は、化粧品・美容業界で活躍する人に人気の美資格。
「日本化粧品検定」が主催しており、多くのモデルやタレントなど美のプロも取得している人気な資格です。
化粧品の歴史から成分、法律など化粧品会社で活かせる知識を身につけられます。
級 | 目的 | 詳細 |
1級 | コスメのプロ | 2・3級の内容に加え、コスメの成分まで把握 |
2級 | 美容を語れるプロ | 肌悩みに応じた化粧品やメイク方法を熟知 |
3級 | コスメの一般常識を把握 | 日々のお化粧やスキンケアに役立つ |
3級は、オンラインで無料受講ができる点も魅力の1つ。
なお、合格率は70%前後ですので協会のテキストを活用すれば独学でも取得可能です。
スキンケアアドバイザー
スキンケアアドバイザーは、日本スキンケア協会認定の資格です。
化粧品の成分の知識に加え、アドバイスの仕方やカウンセリング方法まで学べます。
資格の取得方法は、講座を受講し公式課題レポートを提出するだけですので比較的に簡単です。
最短1カ月で取得できるのですぐに転職に活かせる資格を取りたい方にも向いています。
化粧品会社で働く薬剤師に関するQ&A
化粧品会社で働く前に、気になるポイントを整理しましょう。
ここでは、化粧品会社で働く薬剤師に関するよくある質問にQ&A形式で回答します。
Q.新卒でも化粧品会社で働く薬剤師になれる?
Q.美容系薬剤師の就職先は?
気になる項目からチェックしましょう。
Q.新卒でも化粧品会社で働く薬剤師になれる?
A.新卒でも化粧品会社で働く薬剤師になれます。
新卒や第二新卒を求める企業は多いです。
30~40代になると転職難易度が高くなるので、早めに自分が働きたい企業に就職するべき。
若年層を求める企業は多いものの、化粧品会社は求人数が少ないので転職サイトなどを活用しましょう。
Q.美容系薬剤師の就職先は?
A.美容系薬剤師の就職先は、化粧品会社のほかにエステサロンや化粧品を取り扱う製薬会社などが挙げられます。
近年、美意や健康への意識が高い人が増え、美容業界の市場規模は拡大傾向に。
一方、薬事に関する規制も厳しくなってきているので薬剤師の知識を必要とする企業も増えつつつあります。
化粧品会社以外の選択肢も増えているので、視野を広げて美容に携われる職を見つけましょう。
参考文献:厚生労働省「生活衛生関係」
まとめ|化粧品会社で働く薬剤師になってやりがいと高年収を両方とも獲得しよう

化粧品会社の優良求人を見つけるためには、非公開求人を注意深くチェックする必要があります。
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