学生の中では薬剤師と看護師って年収・資格取得の難易度などを考えるとどちらが良いの?って迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
「薬剤師と看護師の年収はどっちが高い?」
「資格取得が難しいのはどっち?」
「なるにはどれくらいの費用がかかるの?」
医療系の仕事の人気職でもある薬剤師と看護師。どちらの職を目指そうか迷っている人も少なくないと思います。
結論からいうと、看護師よりも薬剤師の方が年収的に見ると高いです。
しかし、なるまでにかかる年数や費用も大きく異なってきます。
そこで今回は、薬剤師と看護師を年収を比較しながら、資格取得までの費用や進路を詳しくみていきましょう。
この記事で分かることは以下の通りです。
この記事を読むと分かること
- 薬剤師の年収事情
- 看護師の年収事情
- 薬剤師・看護師になるための進路
- 薬剤師・看護師になるために必要な学費
- 年収以外の仕事内容やキャリアの比較
薬剤師の年収事情って?意外と低めな薬剤師の給与

まず、薬剤師の年収は一体どれくらいなのでしょうか?
以下では、薬剤師全体で見た平均年収と年齢別・性別で比較した年収を見ていきましょう。
また薬剤師は、勤務する場所にもよって年収は変わってきますので、職場による年収の違いも解説していきます。
薬剤師の平均年収は549.8万円
「平成30年賃金構造基本統計調査」を参考に割り出された薬剤師の平均年収は、549.8万円です。
この数字は、全国で働く20代から60代の薬剤師の平均年収を表したものであり、調査対象は幅広くなっています。
ちなみに、国税庁が集計する「民間給与実態統計調査」によると、令和元年度の一般的な会社員の平均給与は436万円。
これに比べると、薬剤師ははるかに平均年収は高い傾向にあります。
また、過去5年間の薬剤師の平均年収の動向を見てみましょう。
年度 | 平均年収 |
---|---|
2018年 | 543.5万円 |
2017年 | 543.8万円 |
2016年 | 514.9万円 |
2015年 | 533.4万円 |
2014年 | 531.1万円 |
参照:「平成30年賃金構造基本統計調査」
年度によって多少の変動はあるものの、比較的薬剤師の給与は安定しているといえます。
地方では、薬剤師不足が懸念されているので、今後さらに薬剤師の給与は上がっていくでしょう。
ただ残念なのが薬剤師の場合昇給率は低く、大手企業と比較すると40代50代の年収は低い傾向にあります。
薬剤師の平均年収に関しての記事は以下のとおり。

薬剤師の年齢別・性別
薬剤師の平均年収を年齢別・性別に分けて集計すると以下のようになります。
年齢 | 女性 | 男性 |
---|---|---|
20~24歳 | 357万6,900円 | 349万9,000円 |
25~29歳 | 458万6,500円 | 476万9,000円 |
30~34歳 | 511万5,800円 | 579万7,700円 |
35~39歳 | 560万1,300円 | 653万9,700円 |
40~44歳 | 581万2,700円 | 674万2,800円 |
45~49歳 | 613万2,000円 | 655万9,300円 |
50~54歳 | 565万8,600円 | 682万1,000円 |
55~59歳 | 571万4,600円 | 691万7,400円 |
60~64歳 | 553万2,300円 | 565万3,400円 |
65~69歳 | 502万7,000円 | 467万9,800円 |
70歳~ | 362万3,200円 | 607万900円 |
全体平均 | 524万6,200円 | 575万1,700円 |
参考:「平成30年賃金構造基本統計調査」
薬剤師の平均年収を性別で見てみると、女性薬剤師よりも男性薬剤師の方が年収は高い傾向にあります。
その背景には、女性薬剤師の結婚や出産のライフスタイルの変化をきっかけに、正社員ではなくパートや派遣で勤務する女性が多くなるからです。
男性薬剤師は、順調に年収が上がり続けて55歳から59歳の691万7400円をピークに年収が減少しています。
これについてはどの職業もそうですが、定年をきっかけに雇用形態が変わるなどして年収は、ピーク時よりも下がるでしょう。
職場による比較
薬剤師が勤務する職場には様々な場所があり、年収も大きく異なってきます。
以下の表では、職場別の薬剤師の平均年収をまとめてみました。
職場 | 年収の目安 |
---|---|
ドラッグストア | 400~1000万円 |
調剤薬局・診療所 | 400~800万円 |
病院 | 400~650万円 |
製薬会社 | 500~1000万円 |
化粧品・食品メーカー | 400~650万円 |
医薬品卸企業 | 600~700万円 |
自衛隊(薬剤官) | 650万円 |
参考:マイナビ薬剤師の求人募集要項を参考に算出
こちらは、マイナビ薬剤師でいくつかの求人をピックアップし、割り出した年収の目安です。
一般的には、製薬会社の薬剤師の年収が高いとされています。
また、ドラッグストアの正社員薬剤師も高くエリアマネジャークラスになると、1000万円代も狙えるでしょう。
しかし、これはあくまで求人傾向から導き出した目安の平均年収なので、参考程度にして下さい。
看護師の年収事情

次に、看護師の平均年収は一体どれくらいなのでしょうか?
こちらも全体的な平均年収と年齢別、性別に分けてみていきましょう。
また、看護師も勤務する職場によって給与が変化しますので解説していきます。
看護師の平均年収は485.4万円
「平成30年賃金構造基本統計調査」によると看護師の全体的な平均年収は、485.4万円です。
一般的な会社員の平均年収が436万円なので、それよりも看護師の年収はやや高めということが分かります。
過去5年間の看護師平均年収の推移については、以下の通りです。
年度 | 平均年収 |
---|---|
2018年 | 479.9万円 |
2017年 | 478.2万円 |
2016年 | 480.8万円 |
2015年 | 478.3万円 |
2014年 | 472.9万円 |
参照:「平成30年賃金構造基本統計調査」
この表から見ても分かる通り、看護師の平均年収は少しずつ上がり続けています。
日本は、今後さらに少子高齢化が進むため看護師のニーズは高まり、年収は上昇すると予想されるでしょう。
年齢別・性別
看護師の年齢・性別の平均年収は以下の通りです。
年齢 | 女性 | 男性 |
---|---|---|
20~24歳 | 389万8,200円 | 367万円 |
25~29歳 | 463万6,900円 | 470万4,600円 |
30~34歳 | 472万1,000円 | 504万6,800円 |
35~39歳 | 484万4,200円 | 504万8,700円 |
40~44歳 | 497万3,500円 | 513万3,700円 |
45~49歳 | 515万1,100円 | 551万2,600円 |
50~54歳 | 537万2,900円 | 575万1,200円 |
55~59歳 | 527万5,900円 | 576万3,600円 |
60~64歳 | 445万800円 | 455万5,200円 |
65~69歳 | 380万4,100円 | 455万2,800円 |
70歳~ | 360万1,100円 | データなし |
全体平均 | 478万4,700円 | 492万4,200円 |
参考:「平成30年賃金構造基本統計調査」
男女別で見てみると20代前半は女性の平均年収が高いのに対し、20代後半以降からは逆転し男性の平均年収が高い水準をキープしています。
こちらも、女性の方がライフスタイルの変化を受けやすいのが原因です。
また、女性は50歳から54歳、男性は55歳から59歳をピークに平均年収は減少していきます。
職場による比較
看護師の勤務先も薬剤師と同様に多岐にわたります。
看護師の職場別の平均年収を見ていきましょう。
職場 | 年収の目安 |
---|---|
総合病院 | 465万円 |
大学病院 | 490万円 |
外来のみのクリニック | 390万円 |
介護施設 | 375万円 |
自衛隊看護師 | 400〜500万円 |
参考:コムメディカルドットコム
総合病院や大学病院は急患や夜勤勤務が多いため、平均年収は高めの結果となりました。
一方で、外来のみのクリニックは定時勤務のところがほとんどなので、年収は低めです。
さらに、介護施設などは医療行為そのものが少ないため、看護師の給与は必然的に低くなります。
自衛隊看護師は勤続年数によって年収は上がっていき、最高で500万円の看護師もいるようです。
このように看護師は、勤める職場によって年収は大きく左右されるでしょう。
薬剤師の方が年収は高い

ここまで、薬剤師と看護師の年収事情についてそれぞれ解説してきました。
結果的に、看護師よりも薬剤師の方が平均年収は高いことが分かります。
差額で見ると約60万円くらいの差があるのです。
しかし、看護師も薬剤師も年齢や勤務先の職場によっても平均年収は大きく変動してくるので、これらの数字はあくまで一つの目安であると考えて下さい。
また、これらのデータを見ながら求人を探したり、条件を絞るときの基準にして転職活動などの指標としてみて頂ければと思います。
薬剤師・看護師になるための進路

薬剤師と看護師になるためには、どのような進路があるのでしょうか?
以下では、薬剤師と看護師になるための進路を解説していきます。
薬剤師になるには
薬剤師になるには、薬剤医師国家試験に合格し薬剤師免許の取得が必要です。
薬剤師免許の取得には、高校卒業後に以下の二つのルートがあります。

一つ目のルートは、6年制の薬学部を卒業して、薬剤師国家試験に合格する方法です。
二つ目は、薬学部大学の4年制のコースを卒業し、その後薬学部の大学院で実務実習を含む2年制を卒業するルートがあります。
ただし、2つ目のルートに関しては2017年までの入学者に限り、適応される条件です。
つまり、2018年4月以降の入学者には適応されないので、該当する人は6年制の薬学部に入り直すしかありません。
また、薬剤師国家試験に合格した場合、厚生労働省に薬剤師登録申請をしなければならないことも把握しておきましょう。
看護師になるには
看護師になるには、看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得が必要です。
看護師免許の取得には、以下の4つのルートがあります。

高校卒業後に4年制の大学、3年制の短期大学や専門学校に通うことで、受験資格が与えられます。
4年制の大学では、3年間は看護教育を受け残りの1年間は国家試験対策が中心です。
3年制の短期大学や専門学校では、より実践的なカリュキュラムが組まれていており、国家試験対策に費やせる時間も限られています。
そのため、3年間という最短で受験資格を取得できますが、4年制の大学に比べてハードなスケジュールになるでしょう。
また、中学卒業後に文部科学省が認可した5年制の看護師養成課程校を卒業するルートでも受験資格の取得が可能です。
こちらは、3年間で准看護師受験資格を得る看護科の期間、この理の2年間は看護師国家試験の受験資格を得る専攻課程となります。
薬剤師の方がなるまでに時間がかかる
ここまで、薬剤師・看護師になるためのルートを解説してきました。
この2つのルートを比べてみると、看護師よりも薬剤師の方が受験資格を得るためにかかる期間が長いことが分かります。
看護師の場合は、高校卒業後に最短で受験資格を得るまでに3年かかります。
しかし、薬剤師の場合は高校を卒業してからどんなに頑張っても受験資格を得るためには、6年もの長い歳月がかかるのです。
薬剤師・薬剤師なるためにかかる学費

薬剤師・看護師になるために一番気になるのは学費です。
以下では、薬剤師・看護師になるための必要な学費について解説していきます。
薬剤師になるためには私立で約1230万円から、国立で約350万円
薬剤師になるための学費は、私立で約1230万円〜1260万円、国立は約350万円かかります。
例として、私立大学の薬学部と国立の薬学部の学費を下の表にまとめてみました。
なお、情報は2020年の各大学公式ホームページの募集要項を参考にしています。
大学名 (私立) | 入学金 | 授業料 (1年次) | 授業料 (2年次以降) |
---|---|---|---|
北里大学(薬学部) | 400,000円 | 1,950,000円 | 2,050,000円 |
帝京平成大学(薬学部) | 350,000円 | 2,034,700円 | 2,034,700円 |
明治薬科大学(薬学部) | 400,000円 | 1,890,000円 | 1,990,000円 |
大学名 (国立) | 入学金 | 授業料(年) |
---|---|---|
国立(薬学部) | 282,000円 | 535,800円 |
千葉大学(薬学部) | 282,000円 | 642,960円 |
このように、国立と私立の大学では、学費に大きな差が出ています。
また、国立・私立に関係なく奨学金制度が設けられているので、必要な条件を満たせば利用できます。
さらに、学校によっては成績が優秀な学生は、授業料が免除している大学もあるので、入学前にチェックしておきましょう。
看護師私立大で約650万円〜740万円、国立の場合は約250万円
看護師になるために必要な学費は、私立大学で約650万円〜740万円、国立大学の場合は約250万円です。
また、専門学校では平均すると、私立で約250万円、国立で60万円という結果となりました。
まずは、看護大学の学費を見ていきましょう。
以下では、2020年の募集要項に基づき、私立と国立の看護大学の学費をまとめました。
大学名 | 入学金 | 授業料 (1年次) | 授業料 (2年次以降) |
---|---|---|---|
つくば国際大学(看護学科) | 300,000円 | 1,550,000円 | 1,550,000円 |
獨協医科大学(看護学部) | 500,000円 | 1,350,000円 | 1,350,000円 |
帝京大学(医療技術学部看護学科) | 263,000円 | 1,834,000円 | 1,747,000円 |
大学区分 | 入学金 | 年間授業料 |
---|---|---|
国立大学 | 282,000円 | 535,800円 |
千葉大学 | 282,000円 | 642,960円 |
このように、私立と国立大学では大きな差が出ています。
次に、専門学校の学費例を見ていきましょう。
学校種別 | 学費総額(概算) |
---|---|
専門(私立) | 約2,500,000円 |
専門(国公立) | 約600,000円 |
専門学校も私立と公立では、大きく異なります。
ただ、専門学校では3年制なので、その分支払う学費は少なくて済むでしょう。
また、大学と同様に専門学校生でも奨学金制度を導入している学校はあるので、入学前に募集要項などをチェックしておくのがおすすめです。
薬剤師の方が学費がかかる
ここまで、看護師と薬剤師になるための学費について解説してきました。
両者の学費を比べたときに、看護師よりも薬剤師の学費は高いということがお分かりかと思います。
薬剤師の給与が高い背景には、学費の高さや受験資格取得までに看護師よりも時間がかかるからなのです。
年収以外でも薬剤師と看護師を比較する

年収以外にも、薬剤師と看護師では異なる点がいくつかあります。
以下では、年収以外の項目で薬剤師と看護師を比較してみていきましょう。
キャリア
まず、薬剤師の代表的なキャリアは以下の通りです。
薬剤師のキャリア例
- 管理薬剤師
- 薬局長
- ドラッグストアや調剤薬局のエリアマネージャー
- 製薬会社の管理職
薬剤師のキャリアは、勤務する場所により異なってきます。
調剤薬局やドラッグストアであれば、「管理薬剤師→薬局長→エリアマネージャー」という流れのキャリアが一般的です。
また、製薬会社に勤務するのであれば、研究員から管理職などへのキャリアが用意されています。
このように薬剤師のキャリアは、豊富だといえるでしょう。
次に、看護師のキャリアについて解説していきます。
看護師の代表的なキャリアは、以下の通りです。
看護師のキャリア例
- 主任
- 看護師長
- 看護部長
- 認定看護師
- 専門看護師
- 助産師
看護師のキャリアは、勤務する病院の規模や病棟によって異なってきます。
病院であれば、「主任→看護師長→看護部長」のようなキャリアが一般的です。
また、認定・専門看護師になると、より高い水準の医療が提供できることが認められ年収も上がります。
さらに看護師を経験した後、1〜2年間「助産師教育機関」で学び助産師国家試験に合格することで、助産師としても活躍できます。
仕事のやりがいを聞いてみた
実際に薬剤師・看護師として働いている方の声を抜粋して、まとめてみました。
まずは、薬剤師のやりがいを聞いてみました。

次に、看護師の人のやりがいを聞いてみましょう。



参照:スタディサプリ進路より一部抜粋
このように、どちらも共通して言えるのが「患者さんからの感謝の言葉」がやりがいにつながっているようです。
将来性
将来性で選ぶとしたら、総合的にみて薬剤師がおすすめです。
しかし、これはあくまでも年収や仕事内容を比較して考慮したものであって、一つの意見として聞いていただければと思います。
先述した通り、看護師よりも薬剤師の方が年収は上です。
また、仕事内容も看護師は介助や夜勤があるなど、体力的な面でもハードな部分があります。
このようなことから、将来性だけでいうならば看護師よりも薬剤師の方が上でしょう。
ただし、将来性だけで薬剤師・看護師を選ぶのは危険です。
将来性は一つの判断材料とし、自分の適正や学費などを考慮して後悔のない選択をして下さい。
病院内での立場
医療現場のイメージでは、一番上に医師がいてその下に看護師、薬剤師というイメージかと思います。
そこで問題になってくるのが「病院内で医師の次に立場が上なのは、看護師か薬剤師か論争」です。
結論からいうと、仕事内容も職種も違うのだから、比べる対象にはならないと思います。
- 薬剤師は、薬剤業務で患者さんを助ける。
- 看護師は、看護を通して患者をケアする。
それぞれのフィールドで、業務をこなしていれば特に立場を気にする必要はないでしょう。
まとめ:年収は看護師よりも薬剤師の方が上だが…


ここまで、薬剤師と看護師の年収などを比較してきました。
比較した結果を表にまとめると以下のようになります。
薬剤師 | 看護師 | |
平均年収 | 549.8万円 | 485.4万円 |
学費(私立大学) | 約1230万円〜1260万円 | 約650万円〜740万円 |
学費(国立大学) | 約350万円 | 約250万円 |
学費(専門学校) | – | 私立:約250万円 国立:約60万円 |
資格取得ルート |
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キャリア |
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- 薬剤師の年収は看護師よりも高い
- 薬剤師になるには看護師よりもお金と時間がかかる
薬剤師の年収の方が高いですが、薬剤師も看護師も「人の命を預かる仕事」という点においては、どちらも重要な仕事です。
どちらになるのか迷っている方は、本記事を参考にしながら後悔のない進路を選択して頂ければと思います。
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